奪われたモノ

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 あの頃から変わった。  リサ姉が、高3になる頃。  リサ姉に彼氏ができた。  当然、邪魔者の俺とは距離ができた。  彼は、サッカー部の副キャプテンで、リサ姉とはクラスメイト。  人望は厚く、他の女子にも比較的モテて、俺らの学年にもファンがいる。  並んで歩いていると絵になる2人。  リサ姉を取り返したい気持ちもあったが、彼へと向けられた彼女の笑顔に、俺は拳を握り締めるしかなかった。 「どうしたの?タカちゃん最近暗いよ。何か嫌なことでもあった?」 「何でもないよ。それよりリサ姉、彼氏待ってるよ」 「うん。じゃあ、行ってくるね」  手を振るリサ姉に、俺は手を振り返す。  言えないよ。  好きだなんて。  たぶん、リサ姉は真剣に考えるだろうし、すごく悩むと思う。  今の笑顔を消すようなことできる?  俺には無理だ。  リサ姉の隣じゃなくても、近くにいれるだけで充分だ。  そうやって、自分に言い聞かせていた。
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