奪われたモノ

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 「カツ兄。遠くに行っても変わんないよね」 「何だよタカシ。気持ち悪いな」 「リサ姉と別れないよね」 「何?別れてほしい訳?」 「いや、そうじゃなくてさ」 「別れないよ」  カツ兄は遠くを見ながら力強く答えた。  俺は思った。  カツ兄も一緒なんだ。  できるならば、離れたくないんだって。 「別れてほしいんだろ?お前も好きだもんなリサのこと」 「ちょっと、何言ってんのさ!」 「わかるよ。隠すなよ!だから……頼んだぞ」  リサを守ってくれと、俺には聞こえた。  それからリサ姉達は卒業し、カツ兄とは離ればなれに。  電話、メール、手紙までして連絡をとるリサ姉。  返事があると、大喜びで俺に報告にくるリサ姉。  その笑顔を、今は見ることができない。
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