広陵散伝説

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 聶政は父のない子であった。  ある時、彼は母に問うた。父は何処にいるのかと。  母は答えて言った。韓王に殺されたのだと。  政は復讐を誓った。  政は変装して王宮へ向かう。韓王を殺さんとするが果たせず、逃亡して太山に入る。  政はそこで仙人と出会い、琴(キン・七絃琴)を学ぶ。しかし、韓王への怨みは消えず、憤懣遣る方なく、悲しみは絶えず湧き続ける。漆を塗って姿を変え、炭を呑んで声を変え、復讐を誓った。  七年後、遂に琴は成った。政は山を下り、王宮へ向かう。その途中、妻と出くわした。政が笑いかけると、妻は泣く。聶政出遊して七年、貴方のその歯が政に似ている故に、悲しくてと妻は言う。政、絶望して山に戻る。  姿を変え、声を変えても、妻にはわかってしまった、と。政、石に打ちつけて歯を砕き、また復讐を誓った。  三年後、政は下山して王宮へ向かう。誰一人、聶政と気付く者はなかった。  琴を弾き、歌っていると、韓王の耳に入る。韓王、奏者を召し出す。奏者は王の前で琴を弾き、隙をついて、琴中に隠し持つ剣で、遂に王を刺殺した。
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