Step:1 始まり

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げ。 そこにいたのは“パソコン人間”の異名を持つ同じクラスの速坂 紅基(はやさか こうき)だった。 コイツは感情ないんじゃないかと思う程、無表情で何を考えてるかさっぱり分からない。 顔はそこそこ良いのだが、眼鏡の下の感情のこもっていない切れ長の目が、周囲の人間を寄せ付けない。 見事に高校という社会を一人で生きていた。 その上、質問をすると必ず理論に基づいたような答えが返ってくるから“パソコン人間”との異名を付けられている。 で? そんな速坂があたしに何の用…? 「紅山さん? 大丈夫?」 文章にすると優しいように感じるが、実際は嫌味なトーンで言われてる。 頭大丈夫? 的なカンジで。 『速坂…何の用?』 あたしは思いっきり眉間にシワを寄せて睨んでやった。 校庭ではサッカーでもしているのか、微かにボールの音が聞こえる。 静かな校舎にあたしの不機嫌な声がよく響いた。 ぶっちゃけあたしはコイツが嫌い。 何考えてるか分からないし。 しかし、速坂は気にした様子もなく片手を顎に当てて何やら思案中。 そしてパッと顔を上げたが、やっぱりその顔は無表情だった。 「取りあえず屋上に行こう」 は? 固まるあたしを無視して速坂は「それがいい」と、一人、無表情で頷いていた。 何を言っちゃってんだコイツ。 あたしが自主的に速坂に着いていく確率など、ジャンケンに10回連勝するくらいのモンだ。 それぐらいあたしは速坂が嫌い。 悔しかったらジャンケンで10回連勝してみろ! でもそれはあくまでも“自主的”だったらの話。 あたしはしっかりと速坂に引きずられていた。 何が起こるの…?
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