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空を見上げた。
ちらほらと落ちてくる雪が、顔に当たって冷たかった。
目の前には、きれいだけど冷たい、街の夜景が広がる。
ぽっかりと穴が開いたように見える黒い部分は井の頭公園。
たかだか10階建てのマンションの屋上からの景色。
「夜景」と言うには、地元神戸の夜景に失礼かもしれない。
私はそっと手摺りに手をかけた。
手袋を外した手に、それはすごく冷たかった。
なぜか、すべてが冷たい気がした。
手摺りのところに足をかけて身体を高くした瞬間。
「飛び降りるの?」
その声に驚いて下に降りた。
振り向くと、いつの間にか、後ろのドアに背をもたれた若い男性がいた。
あれ……?
屋上へのあのドアは固いから、何かしらの音を立てる。
だから私はそっと開けるのにいつも苦労をしていた。
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