第1章 つめたい雪

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空を見上げた。 ちらほらと落ちてくる雪が、顔に当たって冷たかった。 目の前には、きれいだけど冷たい、街の夜景が広がる。 ぽっかりと穴が開いたように見える黒い部分は井の頭公園。 たかだか10階建てのマンションの屋上からの景色。 「夜景」と言うには、地元神戸の夜景に失礼かもしれない。 私はそっと手摺りに手をかけた。 手袋を外した手に、それはすごく冷たかった。 なぜか、すべてが冷たい気がした。 手摺りのところに足をかけて身体を高くした瞬間。 「飛び降りるの?」 その声に驚いて下に降りた。 振り向くと、いつの間にか、後ろのドアに背をもたれた若い男性がいた。 あれ……? 屋上へのあのドアは固いから、何かしらの音を立てる。 だから私はそっと開けるのにいつも苦労をしていた。  
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