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「そうだ、だからそんな危ない所からすぐ降りろ!」
ちゃんと向こうに届くように、
大きな声で話す。
でもそいつは、
「いや!嫌だ!
どうせアンタもアイツに金で雇われたんでしょ?」
まてまてまてまて、
金?
は?
どうも話が合わない。
余計に俺を混乱させないでくれ。
「とにかく、降りろよ
落ち着け」
もう俺の口からはこれしかでない。
こんなひ弱な言動で、
相手の心を動く訳もなく、
ソイツは大声でこういった。
「もう、もういい、
どうせアタシには、逃げ場なんてないんだから
……捕まるなら死ぬ、死んでやる!!
本当に死んでやる!!」
そうして、その女は身を前に倒して
本当に落ちようとしてやがる。
これは、ヤバい。
その瞬間、自分でも信じられないほどの瞬発力でフェンスへと駆け寄ろうとしていた。
自分でも本当にに分からない。
何をするのか、駆け寄ってどうするのか……
ましてや、近づくと死ぬと言ってるのに近づいてどうする。
逆に、相手に刺激を与えてるだけじゃないのか?
でも足は止まらない。
その女は、俺が近づくとたび
「こないで!!止めて!!」
と声が震えながら叫んでいる。
泣いているのか??
でも、それでたった一つ分かった事がある。
それは、
コイツは本当に死ぬ気など無いと………
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