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『また言ってやがる』『あいつにも困ったものだ』
村人達が話を一切聞いてくれない。少年は初めて自分が信用を失っていたのだと気付いた。
とぼとぼと羊のところへ戻り いったい、何頭食べられてしまったのだろうかと泣きべそをかきながら数を数えていた
『やぁ羊の数はあっていたかい?』
低くて優しい声が少年を気遣うように囁いた
少年は背後から不意に声をかけられたのでビクっと身構えてしまった
狼『はは..怖がるなよ食べやしない』
そこには三匹の狼がいた
狼達は少年を怖がらせないように距離をとり 干し草の上で横たわっている
狼『私たちは、以前から君のことはよく見ていてね。君は昔から嘘をついていたんだね。だから今回私たちが山から降りてきた事を誰も信じなかった。』
狼B『嘘はヒドいねぇ』
狼C『嘘はいけないねぇ』
少年『そ、そんなことはわかってる!』
狼『いや、馬鹿にしに来たわけじゃないんだ。気分を害したなら謝るよ。今日ここへ来たのは君の信用を私たちが回復させてあげたくてね。』
少年は状況が飲み込めず、声が出せないでいた。
狼『君が嘘吐きなのは無理もない こんな草か羊しかいないような所でずっと一人だったんだ。寂しかったんだねぇ。辛かったんだなぁ。』
少年は狼達の話を聞きながら、以前村人達に嘘をついたことがバレて説教された時の言葉をふと思い出した
(『嘘吐きなのは寂しかったからなんだろ?ちゃんとわかってるさ』『また嘘吐きやがったな!まったくお前の嘘は村の名物だよな!毎日一回は聞かないと気味がわりいや』)
みんな決まって最後には笑って許してくれてた
ちゃんとわかってくれてて いざってときはちゃんと話を聞いてくれると思ってた…
だのに!!
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