月の晩に

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屋根の上に死神と、尻尾と耳を生やしたものが立っておりました。  死神の着ている服や、帽子、靴、マントの色、それから背中から生えたカラスのような翼は、満月から離れた所の空を彩るものと同じ色のものでした。  もう片方も、死神と同じ彩りの服を身につけてはいましたが。  死神とは違い、半袖と半ズボンを穿いていて、その頭には猫の耳が生え、ズボンのうしろには猫の尻尾が生えていました。  猫の耳と尻尾を生やしたもの――以後黒猫と呼びましょう――は死神に聞きました。 「ご主人様、ご主人様、もしかしてあの人間を殺してしまうのでしょうか?」
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