月の晩に

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それは本人にすれば脅しのつもりだったのですが、黒猫は顔色一つ変えずにただただ黙ってその顔を見つめるだけでした。  そんな黒猫に少し落胆しつつ死神が鎌を首からおろすと、作ったような乾いた笑いを青白く冷たい唇に浮かべ、自分に言い聞かせるように言うのでした。 「わかった。わかったよ。お前さんがそこまで勇気があるなんて我は知らなかった。仕方ない。その方法をとることにしようじゃないか」
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