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そんな自らの主人を見て、黒猫はその黄色く透き通った目を輝かせて礼を言おうと口を開きかけたのですが、死神はそれを止めるかのように黒猫の小さな口に自らの細くて、百合のように白い指をあてると言葉をさらに紡ぎました。
「お前さんのその勇気に免じて我から一日の猶予をやる。明日一日中月が無くても人の姿でいられる方法を教えてやるから、残り少ない時間を楽しめばいい」
そこまで話すと死神は指を離し、黒猫に背をむけました。
今度こそ礼をつげようと黒猫が口をまた開きかけたのですが、またそれを遮って背をむけたままさらに死神は言葉を紡ぎます。
「そのかわり、だ。もしもお前さんが自身の正体を告げようとしたり、我にとって不快な行動を少しでもしてみろ。お前さんの首を日中だろうが刈り取ってやる」
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