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『……分かりました。
それで彩月さんの気がまぎれるなら…』
仁は優しく微笑みながら答えた。
部屋に招かれた仁は、辺りを見渡して少し驚いた。
彩月は男っぽい性格だと店の主人に言われていた。
そんな彩月からは想像できないほど、室内は綺麗に整理されていて、可愛らしく沢山のぬいぐるみが飾ってある。
そんな女の子らしい部屋だった。
『意外です…。お部屋は綺麗にしてらっしゃるんですね?』
「一応…」
『熊が好きなんですね?』
「えっ?あ…うん、プーさんマニアやけん」
そう言うと彩月は、一番大きなぬいぐるみを持ち出してきた。
「一番のお気に入りはコレかな…、可愛いでしょ?
ちょっと持っててや…、着替えてくるけん」
彩月からぬいぐるみを受け取った仁は、そのぬいぐるみを見て少し驚いた。
(これは…)
「…?」
仁がぬいぐるみに見入っている事を不思議に思いながらも、彩月は着替えるからと隣の部屋へ移動した。
(こんな所で見掛けるなんて…)
仁は預かったぬいぐるみの頭を撫でながら、昔を思い出していた。
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