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『で、でも…。
俺は瑠璃子とは…一回しか…してないよな?』
「あら…?疑ってるの?」
『い、いや、そうじゃない!疑ってはいないけど…』
「嫌なの?」
『嫌じゃないよ!嫌じゃないけど…。
その…なんて言うか…。あまりにも突然だし、あの一回がって言うのも…信憑性に欠けると言うか…』
「一回でも十回でも排卵日に当たれば同じことよ?
今だから言うけど…あの日は狙ってたの」
『狙ってたぁ!?』
その一言に驚いた龍介は、大きな口を開けたままソファーの背もたれに力無く寄り掛かる。
「そう…
だって龍介の子供が欲しかったし…、そうでもしないと龍介を失いそうで…。
龍介を繋いでおく確かなものが欲しかったの…」
『ゴメン…。
そこまで瑠璃子が不安になってるとは思ってなかった』
「私だって普通の女なのよ?
好きな人を失いたくない気持ちも、ずっと寄り添っていたい気持ちも持ってるわ…」
瑠璃子のその気持ちに嬉しさと反省を感じた龍介は、ニッコリと笑いながら答えた。
『瑠璃子…
でも、もう大丈夫!俺は瑠璃子から絶対に離れない!
アニキに口うるさく説教されて気付かされたし、詩織にも約束してきた』
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