エピローグ

3/12
前へ
/358ページ
次へ
『もう着替え終わったんだから、そんな怒るなよ』 「パパが遅いからじゃない!」 『そんな大きな声で怒るなって…。詩織がビックリするだろ?泣き出したらどうするんだよ』 「ほら!早くして!」 『はいはい…んじゃ行くか!』 目的地に向かう車内でも瑠璃子の愚痴が龍介の耳を責める。 が、龍介はいつものように『ハイハイ』と答えて聞き流していた。 もし龍介が言い返そうモノなら、瑠璃子は倍にして返してくる。 龍介は最終的に自分が言い負ける事を知っていたので、口答えせずに黙って聞いていた。 そういう面では一年前より大人になった龍介だった。 目的地に着いた龍介達を出迎えてくれたのは、電動車椅子に乗った熊津だった。 「おはよう、マー君」 「おはようございます…瑠璃子さん」 『マー君、おはよう。 すっげぇ~久しぶりだよね?』 「そうだなぁ…。 龍介は相変わらず元気そうだな?」 『うん、俺は相変わらずだよ。 それより…何だよ?そのヒゲ!ぜんぜん似合ってねぇよ!』 話し込んでいる龍介に瑠璃子が声を掛ける。 「ちょっと龍介!話してないで乳母車を降ろしてよ!」
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

569人が本棚に入れています
本棚に追加