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『あ…いや…。
だって先生はとんでもない事をするじゃないっすか!』
「私が何かしましたか?」
佐々木は惚けているのではなく、本当に何をしたのか解らない様子で龍介に聞き返す。
『俺達の時に瑠璃子を拐って逃げたじゃねぇかよ!
花嫁を連れて逃げるなんて、映画以外で初めて見ましたよ!』
「あぁ!アレですか…。
別に拐った訳ではありません…。
頭では理解していたのですがね…、現実を目の当たりにして、やっぱり瑠璃子さんを龍介君には渡したくないと思ったので…、奪っただけです」
『同じですよ!』
「そうですよ先生…。迷惑を掛けずに、今日は静かにしていてくださいね?」
念を押す様に瑠璃子が注意を促す
「大丈夫ですよ。あの時は瑠璃子さんだからこその行動であって、彩月さんには何の思い入れもありませんから」
と、真顔で言い放つ佐々木
「それに…」
そう言うと佐々木の目線が華奈の胸元で健やかに笑っている詩織に移る。
「今は詩織さんに夢中ですから」
『詩織に夢中って…どういう…』
「さすがに、人の家庭を壊してまで瑠璃子さんを奪おうとは思いません。これからは詩織さんに私の全てを捧げます」
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