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すると佐々木は、華奈から奪い取るように詩織を抱き抱えた。
「う~ん…いつ見ても可愛いですねぇ~。詩織さん早く大きくなってください。その時が来たら私がお迎えに行きますからね」
『お迎えにって…まさか…』
「はい。瑠璃子さんがダメになった以上、詩織さんを我が妻にお迎えさせていただきます。
大丈夫です。
後…たったの19年と129日ですから、私は待っていられます」
『ダメ!絶対ダメ!
詩織は絶対に誰にも嫁にはやらん!』
詩織に対する求愛を、龍介に断固拒否された佐々木の顔付きが変わった‥。
「そうですか…。
一度ならず二度までも、私の前に立ちはだかるつもりのようですね…?
………。
良いでしょう…。そっちがその気なら、私も全総力をかけて詩織さんを私の妻にさせていただきます」
『受けてたちますよ!』
これから長く続くであろう[神威詩織争奪戦]の火蓋が切っておろされた瞬間だった。
バチバチと火花を散らし歪み合う二人の向こうから、純白のウェディングドレスを綺麗にまとった彩月が歩いてくる。
「彰さんはまだ来とらんと?」
「まだ来てないようね…」
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