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なんだ、この光景は……。
カフェの窓から見えたそれは、タクミが寺田さんに向かって、頭を下げているところだった。
タクミが働いてるところをこっそり眺めようと思ったら、カラス越しに感じられる不穏な空気……。
な、なんだろう。
バイト中、なんか変なことやらかしちゃったのかな……。
叱られるのは、可哀そうだけど
叱られるのも、タクミの身のためだわ。
このまま、止めないで説教が終わるのをこっそり待っていよう。
道沿いにある出窓から覗いてたんだけど、周囲の目があって恥ずかしいので、入り口のドアへと移動する事にした。
ドアの小窓から、覗こうとしたけど二人との距離が意外に近くて、それは諦めた。
ドアに耳を押し付けるみたいにして聞き耳を立てる。
『チヒロは……チヒロには、夢があるんです』
ドア越しに、タクミの凛とした声が聞こえた。
アタシの夢?
説教されてるんじゃ……。
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