酔恋

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誰もいない店内。 また降り始めた雨が賑やかに屋根やガラスを叩く。 空っぽになった厨房から、先程見つけた絵画に目を戻す。 白と黒のみで描かれた、空。だった。 水墨画なのかもしれない。 黒の色のみで描かれているのかもしれない。 詳しいことはわからないが、空であることは確かだ。 泣きそうな空。 今のアタシにそっくりだと思った。 先も見えない。 暖かくも無い。 だから、モノクロ。 じっと、絵画に見入っていると 足音が聞こえた。 美形さんが戻ってきたのか。 厨房を振り向こうと、回れ右をしたら 目の前、と言うか 立ってた場所のすぐ後ろに その人がいた。 .
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