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『オレとは違って、ちゃんと目標をもってる子なんです、チヒロは』
無口なタクミが、ペラペラと喋っている。
アタシの夢云々より、そんなところを気にしてしまったアタシ、自重だわね…。
『だから、自分のしたいことをおしつけないでください』
『それは……僕に言ってるの?自分に言い聞かせてるみたいに聞こえるけど』
『……オレだって……』
タクミの声が、聞きとりにくくなる。
『え?』
すかさず、寺田さんであろう声がそれに追いかけるみたいに疑問符を投げた。
『オレだって!一緒にいたいんだ……でも、足手まといになりたくないんだ』
タクミの口から零れるその本音は止まることを知らないように、どんどんと流れていくようで
このタクミだけ見てたら、誰もタクミが無口だなんて思わないだろう。
『あいつは、ひとつの事にしか集中できなくて。勉強中に部屋の掃除を始めるような子なんだ……。だから』
え、なんかそんな事まで言わなくていいじゃないかタクミ。
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