酔恋

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こぽこぽと言う、音と共に 店内に芳ばしいコーヒーのにおいが広がった。 ぐううううぅぅぅ…… そのにおいが、アタシのお腹の虫を刺激して みっともない音も一緒に店内に響いたのでした。 ああ 帰りたい。 美形さんを盗み見るように、ちらりと視線を向けると 笑いをこらえているらしくて。肩が細かく上下しているのが見て取れた。 「……す、すいません」 なぜか、謝罪してしまった…。 「あ、そうだ。雨で気持ち悪いでしょ?」 笑いが残っている緩やかな口元で振り返る美形さん。 月とすっぽんって、この情景のようだわ。 雨に濡れてみすぼらしいアタシと、華やかな存在感と柔らかい笑みの美形さん。 差がありすぎるわ。 .
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