失恋

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我にかえって、やっと周りに音やら人が見えてきた。 あからさまにジロジロと見られてはいないけど… チクチクと好奇心に満ちた視線を送られているのがわかる。 「だいじょぶ?」 カオリちゃんが、俯いてるアタシの顔を覗き込むように尋ねてくる。 「ちょっと…キツイ…かな…」 やっとの事で絞り出した声は、喉がカラカラでやけにかすれてて アタシの心みたいに、小さくて 水を失ってしまった大地のように乾いていた。 カラカラと乾いているはずなのに じんわりとこみあげてくる何か。 その何かが涙だと気づく前に アタシは走り出していたんだ。 .
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