酔恋

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肌寒い風が、体を包む。 足先から、背筋まで、スゥっとその風になでられた気がした。 「ふぇ……っくしゅ」 間の抜けたクシャミでやっとリアルに戻れた気がした。 目が覚めたみたいに、突然体の間隔が戻ってきた。 「うわ。さっむ……」 心も寒きゃ、体も寒い。 なんだろう。この連鎖。 今、とてつもない王子様が白馬に乗ってきて 「…大丈夫、ですか?」 風邪をひきそうなアタシを看病するとかいいだしたら 「近くに、店あるんで寄りませんか?」 アタシの寒い心も、花畑にいるみたいに、暖かくなってポカポカして 「聞いてます?」 蝶々のように、ヒラヒラと飛べるのだろうか…。 って…え? 「聞こえてます?」 .
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