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「傷一つ与えられない…か」
オレの顔の横に巨大な銃が現れた。
今まで見たこともない銃だが、今の声は間違いなく……
「霧科、無事だったのか」
「無事……とは言えないな」
見ると霧科は全身に火傷を負っているような姿だ。
立てるのが不思議なほどに凄まじい姿だ。
「立て、霧科志奈」
霧科はオレの前に出ながら言った。
今思えば名前知らなかったが、霧科志奈と言うらしい。
その志奈は、ゆっくりと立ち上がった。
「名もなき殲滅……修復……できたの?」
「お前のおかげだ。ディロイを止めてくれたお陰で、好きに魔力を利用できた」
霧科は銃を霧科志奈に向け、冷たく言い放った。
「感情に流されてコントロールを失わなければ、ある程度は使えるようだ。
今なら、不思議と負ける気がしない」
「この…っ!」
「帰れ」
直も冷たく言葉を放つ。
いつもの霧科と同じだ。
「ゼルトゥがオレに辿り着く前に、二発は撃てる」
霧科志奈は凄まじい形相で霧科を睨み付け、ゼルトゥとやらを体の中に戻した。
「よく…理解できたわ。
あなたたちは……邪魔をする……敵」
霧科志奈はそう言い残し、フラフラになりながら背を向け、去っていった。
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