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「なんかスゲーあっさり終わったんだけど。もっと暴れると思ってた」
八桐の腕から刀を出した後の感想がそれだった。
あっさりしすぎてちゃんと効いたのか不安だ。
「大丈夫だよ。じゃ、はい」
無邪気に両手を差し出す八桐。
このまま逃げるという選択はあるんだよな。
デュポーンは今ので弱ったはずだから、たぶんさっきの蛇は出せないからこいつはただの十歳の子供だ。
逃げるオレを捕まえることも、エレベーターを壊すなんてことなんてさらに無理だ。
だけど、約束破るなんて気分悪すぎる。
「ほらよ」
仕方がないので刀を八桐の手の上に乗せた。
ちょっと重たかったのか落としそうになりながらオレに笑顔を向ける。
「ありがとうね。絶対返すから!」
「信じとくよ。返さなかったらハッ倒すからな」
「大丈夫だよ」
八桐はくるりと踵を返し、刀を抜き身の刀を抱えて鼻歌混じりに去っていく。
「バイバーイ!」
ふと思ったが、エレベーターで遊んでたのあいつなんじゃねぇのかな?
どうでもいいけど。
「アホらしい。帰ろ」
エレベーターの呼び出しのボタンを押し、ため息をついた。
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