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入り口の自動ドアが開き、一人の男が入ってきた。
その男の出現により、その場の人間全てが固まった。
男はロビーの真ん中辺りで止まり、誰を見るでもなく、口を開いた。
「娘と話がしたい」
「お父……さん」
そんな宗建の前に、要さんはタバコに火をつけながら歩いていく。
「誰が許可出せるんだよ。
あんた父親なんだろうが」
「……柴崎…要か」
「おうよ。三者面談でもするかコノヤロー」
監禁されてたこと根に持ってるのか何とも思っていないのか、わかりにくい。
「……千秋」
宗建は低い声で志摩の名を呼んだ。
「はい」
「渡すものがある」
そう言うと、宗建は志摩の目の前にまで歩いて移動し、手の上に何かを乗せた。
「それだけだ」
「え…?」
それだけで、宗建は志摩に背中を向け、次はオレの方を向いた。
「私は自分の選択に後悔はない。今でもだ」
それだけを言い残し、宗建は光に包まれて消えてしまった。
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