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「じゃあ、あの時のお前はほとんど操られていたようなものってことか?」
『そうだな』
なかなか酷いことをするな。
『我が力を、全て貴様に渡す』
「は?」
『天使の歌によって聖霊降臨が解除されはしたが、魔族と同じように魔力体として魔力を貴様に渡すことくらいならできる』
「なんでそんなことを?」
『正直、貴様がここまで成長するとは思わなかった。
凄まじい成長の速度に恐怖するほどにだ』
オレとしてはそんな感じは全くしないんだけどな。
『だから一つ賭けをする。
我が魔力を貴様の魔力と同化させる。だが、全てではない』
「どういうことだ?」
『我を……オレを倒せ』
急にフィリォの口調が変わった。
『風の大聖霊フィリォではない、風鳴武一を、お前の手で打ち負かせ』
「いやいやいやいや、何言い出してんだよ!?」
オレが武一を倒すって、普通に無理だろうが!
『全ての魔力がお前に移った時、オレは一度だけお前の体の乗っ取りにかかる。それを止めてみせろ』
「無茶苦茶言うなよ!」
『失敗すれば、お前の体はオレの物になる』
こいつ……最悪だ。
失敗すれば、事実上死ぬのと同じじゃねぇか。
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