きっかけ…

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なんだ… 僕は1枚のチラシに気をとられた コンビニの一角、レジ横に雑然と置かれているチラシに… 「温めますかぁ?」  少し怒った口調で女の子が問いかける 「あ、あぁ…お願いします」 僕は、慌てて返事をした チラシに気をとられて女の子の声が聞こえて無かったみたいだ 女の子は忙しそうにお弁当を電子レンジへ入れると僕の顔を見る事無く… 「次の方どーぞぉ」と、 僕の後ろの客に声をかけた 僕は、お弁当が温まる間にチラシを手に取り、4つ折りにしてポケットに入れた …チーン 「はい、どうぞぉ」 愛想の無い女の子からお弁当を受け取りコンビニを出て車に乗り込む… 営業の仕事をして2年目、お昼は大体コンビニ弁当がメインだ… そして、今日もまたハンバーグ弁当を車の中で食べ始めた… あ! チラシ、チラシ! お弁当を食べながらチラシを開く ミステリー混浴スキーツアー!! 「これこれ!」 この混浴の響きが気になって… つ、つい取ってしまった… たまには、温泉で日頃の疲れを癒すのも悪くない! しかも… スキーツアーって事は… 間違いなく若者をターゲットにしてる! しかも混浴!! あは❤ 間違いない!! 森本 圭【もりもと けい】24歳…僕は人生初の一人旅を決めた瞬間だった 決してやましい考えで行く訳じゃない 温泉でゆっくり過ごしたい… そう、純粋な気持ちで、心を癒す一人旅に行くのだ 僕はお弁当を食べ終えると、チラシの隅から隅まで夢中で読み始めた 2月25日  午前8時出発 1泊2日 行き先… ミステリーツアーに付き秘密 ツアー代金15000円 10日後だ!しかも安い! 絶対行くしかない! 早速、申し込みをしようと携帯を取り出した ん? 僕は、電話番号が記載されていない事に気が付いた 改めてもう一度チラシを読み直すと、端っこにこう書いてある… 申し込みは当コンビニスタッフまで… 僕は、あの無愛想な女の子の顔が頭をよぎった 女の子と言うより、コンビニ嬢 でも、行くしかない! 硬い決意を胸にコンビニへの1歩を踏み出した。
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