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「…………」
こいつを放っておいたら間違いなく犯罪者になる、と思った。
俺は小さく長く、息を吐いた。
俺の机と美雪の机。その向こう側の彼女が、いやに遠く見えた。
落ち着け、と自分に言い聞かせる。病んだ人間相手に熱くなっても、いいことはない。
「じゃあ、なんで自分が死ぬことになるわけ? ひとが死ぬ瞬間が見たいんだろ。なのに自分が死んだら意味ないじゃないか」
「だから“ごっこ”なんだって」
ひらひらと手を振りながら、彼女はなんでもないことのように言った。
「ただ、やってみたいだけなの。人命なんて重いものを、簡単に扱ってみたいの」
「簡単に、って……」
「本当に死んじゃったら大変じゃない? だから“ごっこ”でいいのよ。ふざけて遊びたいだけ」
「それで殺人ごっこ? 悪趣味すぎないか? もっと楽しそうな“ごっこ”でもあるだろ」
「たとえば?」
「恋人ごっこ、とか」
「却下」
のけぞるように椅子に体重を預け、美雪は言い捨てた。
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