桜狩り倶楽部

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   しかし、すぐにがばりと机にへばり付き、俺を見つめる。その口元には、確信したような笑みが浮かんでいた。 「あたし、恋愛小説より推理小説が好きなの」 「…………」 「ね? しようよ、あきらくん」  俺が断れない、とわかっているような瞳だった。  実際、俺は断れないのだ。俺は彼女を好きだったのだから。そして、すでにそれを彼女に伝え、はっきりとフラれていたのだ。  結局、俺は「いいよ」と言った。  彼女と関われることが嬉しかったし、秘密を共有できるのも嬉しかった。今まで知らなかった彼女の裏の顔が知れたのも、なぜだか感慨深かった。 「秘密の殺人倶楽部、結成──だね」  美雪は、いたずらっぽく笑った。 「古淵さん。打ち込みって、これでいいんですか?」  夢から覚めたように、俺はハッとした。本当に白昼夢でも見ていたように、リアルな映像だった。  松本さんが、首をひねる。 「間違ってましたか?」 「大丈夫、それでオッケーです。すみません」  
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