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さぁ、どうしよう。やれ、どうしよう。頭の中では複数人の俺がドンドコドンドコと、どこかの部族の祭のような音と同時に逃げ惑う姿が鮮明に浮かんでいる。
なんせ背中からはこの季節には似つかわしくない程の汗が噴き出ているんだぜ?
落ち着け、俺。
ジークがいる。うん、これは理解出来る。なんせ俺は奴を見つけて来いと言われてこうしてブリューに跨がり、街に繰り出しているんだからな。
しかし、だ。
----なんでアカシアさんも来ているのでしょう?
しかも俺を『とっちめる』と言ってやがりまする。こりゃ悪夢か?
そうか、そうだな。悪夢だ。なんで俺がアカシアにとっちめられなきゃならん。理不尽だ。
だって俺、あいつに何かやった覚えねぇもん。
城の見学にあいつが来た時は挨拶行こうとしてたがイシュトーに無理矢理、ホームの大掃除の手伝いをやらされていた。それで怒っていたんだとしたら不可抗力だし、なによりもう時効だろう。
2年以上前なんだからな。
トーマ
「ブリュー、引き返せ。なるべく足音たてずに慎重にな」
しかしアカシアに言い訳なんざぁ通用しねぇ。
あいつは何処までいっても理不尽だ。昔あいつの人形壊したら人形と同じ部位に蹴りやらなんやらを入れられて一週間起き上がれなかった事があるくらいだ。
なんでいるのかなんて詮索するつもりは毛頭ねぇ。
さっさと逃げて今日は自分の部屋で寝てよう。
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