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ヒュン、と風を切りながら疾走し、跳躍する一頭の魔物は俺を乗せてアパートまで走る。
あぁ、揺れる。
ブリューが本気で走っている時には乗った事なかったからなぁ……。揺れる。吐きそうだ。
うぷ、っと喉まで何か酸っぱいものが込み上げて来る気がする。
ダメ、本気できつい。
それに考えてもみたらアカシアってこっちの街の地理に疎いじゃねぇか。
いくつか建物を飛び越えたらそれで大丈夫なはず。
トーマ
「ブ、ブリュー…………ちょいストップ……うぷ」
ブリューさん。ストップの声に反応するのはとても宜しいのだが……それにより増加する俺の吐き気も考慮していただきたいな。
まぁ、こんなにでっかくなったのにカワイイから許す。あ、容姿的にはモロに恐い狼だからな?
行動が、って意味だかんな?
俺の様子に気付いたブリューが近くの広場に降り立ち、ドサッとベンチに俺を落とす。
それと同時に胃の中の物が逆流した。
…………後で清掃に来なきゃイーザに叱られんな。……いや、すぐ叱られるか。
けどまぁ、アカシアは巻けたみたいだからいいか。
多分観光だろうしな。
…………あり? だったらなんでジークと一緒にいたんだ?
一人首を傾げながら取りあえず吐いたモンをどうにかしよう、とLaguz(ラグズ)の刻まれた紙片を取り出して水で洗い流そうとしてたところ、
ジーク
「…………見つけたぞ、トーマ」
どこか呆れた調子の声が投げかけられた。
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