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後ろから呆れた調子の声が投げかけられ、俺は少しだけにやけた。
なんだろうな、この感覚。
言葉にゃできん。ずっと足りなかったモノが戻って来たみたいだ。
トーマ
「お久しぶり、ジーク」
ジーク
「…………ああ。久しぶりだな、トーマ」
口の端は持ち上がっているけれども、振り返る事はせずに俺の吐いたモンをLaguzを使って洗い流す。
あらかたの吐瀉物が道路の隅を流れる排水溝に行ったのを見てからベンチに座る。
ジークの気配は動かず、俺の後ろで佇んでいる。
トーマ
「アカシアはどうした?」
ジーク
「…………お前を見かけたから、と言って飛び出して行ったよ。まぁ、道をあまり知らないだろうから今頃は迷っているんじゃないかな」
トーマ
「ひっで。後でアカシアに殴られんぞ」
ジーク
「…………トーマが捜しにいけばアカシアの機嫌もよくなるさ」
トーマ
「で、俺が殴られるってか? やるせねぇさな」
久々の再会だってぇのに、俺らは軽口を叩き、それでいて昔の雰囲気を取り戻していた。
後ろに佇んでいたジークがゆったりとした歩調で俺の隣にまで来て、ベンチに座る。
ジーク
「…………そういえばトーマ。なんで街に出てたんだ? それもブリューに乗って」
…………そういやぁ、俺が街に来てたのってこいつを連れて来いって言われたからだったな。
トーマ
「そうだった。ジーク、乗れ」
唐突に立ち上がり、近くで寝そべっていたブリューに跨がり手を貸す。
あまりに俺の行動が唐突だったからかジークは戸惑っていたが一応素直に手を差し出したからよしとする。
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