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アカシア=ライスフィールは走っていた。
そう、本来ならすぐに城に行きこれから配属される部隊の人達に挨拶に行くべきだ。
三部隊の人達はきちんとした式典が開かれるらしいが、四英雄の部隊ではそのような催しは無い。四英雄全員が『仰々しいのは嫌い』との意見からやらないのだそうだ。
これにアカシアは今とても感謝している。
もしアカシアが入った部隊が三部隊のどれかだったとしたら今頃、式典の最中にこそこそと入って怒られているところだろう。
だが、だからといって遅れて良い理由にはならない。
そもそもトーマが悪いのだ。私を見ていきなり逃げるような事をするから昔のように追い掛けてしまった。遅れているのはそれが原因なんだ、と軽く心の中で言い訳している。
アカシア
「あうぅぅ……遅れるぅぅぅ」
四英雄の部隊では式典はないが配属された初日に先輩の騎士と訓練がある。
時間は刻一刻とアカシアの訓練時間に近づいて行っている。
見覚えのある背中が見えた。
ジーク=バッカニアの背中だ。どうやら彼も四英雄の部隊の訓練場に向かっているらしい。
アカシア
「おーい、ジーくん!」
振り返った彼はアカシアを目に留め、
ジーク
「…………ご愁傷様、トーマ」
と呟いたという。
合掌。
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