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この部隊に所属して来た中で確実に上位にランクインする覇気を感じた。
因みに一位は以前ハルペーさんとドロワークスさんが組み手をしていた時のハルペーさんだ。マジ怖かった。
だが、今日の相手はハルペーさんではない。
ハルペーさんは地方の視察に向かわされていて暫く帰って来ないそうだ。
で、もはや空間を浸蝕するまでにいたっている覇気を発している人物を見た。
----鬼が……いた。
トーマ
「うぇ!? ちょっ!? なんで、なんでなんで!?」
軽くどころか本気でパニックに陥る俺。今年で二十歳。
こんな覇気----というかこれは多分怒気----を発しているアカシアは手が付けられない。
アカシアが昔こうなった時は俺は川に放り投げられ、気付いたら国境付近まで流されていた。国境警備の騎士に助けられなきゃ危うく不法入国してる所だった。
いやいや、こんな事を思い出してる場合じゃない、俺。
アカシアの後ろでジークが悟り切ったような感じで手を振っている。それは天国へ行ってらっしゃい、という意味と受け取るべきか?
とりあえず、三十六計逃げるに如かずだっけ? とにかく逃げるしかない。ブリューがここにいれば最高だが奴は今頃女性騎士達に可愛がられながら飯でも食ってるだろう。
イーザ
「トーマ、どうかしたのか……?」
顔色の悪い俺を心配してイーザが顔を覗き込む。それと同時に俺に近づいて来る鬼のスピードが確実に上がった。
逃げたい。けど足が震えて立てないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
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