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ザッ、と俺が半泣き状態で狼狽している前でアカシアが止まった。
アカシア
「……………………」
無言だ。凄い睨み付けられているのに、無言だ。
イーザもアカシアに気付いたらしく怪訝な顔をしている。
あの、アカシアさん。イーザも睨み付けてどうしたんです……?
いや、イーザも対抗して睨まない。
アカシア
「トーマ……」
おや、珍しい。我が幼なじみが俺の事をきちんとした名前で呼んだ。いつも「トマ」だったってぇのに。
トーマ
「は、はい!」
がくがく震えながら、まるで上官に敬礼するかのように返事をした。
うん、怖いんだ。
アカシア
「ちょぉぉぉぉっと、外に行こうかな?」
トーマ
「い、いえ。ご遠慮させていただきます。それに多分そろそろ試合が俺の番……」
アカシア
「つべこべ言わず、来なさい!」
相変わらずの理不尽ぷりだ。俺が返答しなかったら腕掴んで強引に外に連れて行こうとしやがる。
トーマ
「いやいやいや、ドロワークスさんなんかに怒られちまうから」
と、言ってみてもアカシアは引っ張る力を緩めやしない。つーか怒られるとしたらドロワークスさんよか……ダリア辺りに殴られそうなんだよなぁ……。
唐突にアカシアの足が止まった。いや、アカシアが俺を引っ張る力は緩んでないから俺が反対方向に引っ張られるってぇのが正しい。
イーザ
「………………」
むすぅ、とした紫の瞳が『行くな』と訴えている。
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