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海斗が先生の隣で何か騒いでるけど先生は全く取り合う気はないみたいだった。
「わ…私ですか?」
突然名前を呼ばれて話をふられたことに動揺した私は少しビックリしながらも話し出した。
「小さい頃…おじいちゃんに聞いた話なんでうるおぼえなんですけど…
あの桜は数千年も昔からあそこに立っていて、昔はそれは美しい桜の花を咲かせていたそうです。
そしていつしかあの桜には精霊が宿るようになった…
おじいちゃんの話では千年以上生きた木には精霊が宿るんだそうです。
精霊は毎年、毎年、綺麗な花を咲かせるために桜の世話を丹念にやっていました。
精霊は人々の桜を見た時の笑顔を見るのが好きでした。
しかし…それから暫くして桜は花が咲かなくなりました。
花が咲かなくなった桜は次第に人々から忘れ去られ、その桜の根元には精霊が悲しそうに一人佇んでいました。
綺麗な涙がいくつもいくつも精霊の目から流れ落ちました。
気がつくと…精霊はもうどこにもいませんでした。」
「……悲しい話だね。」
「俺…初めて聞いた。」
「私も小さい頃毎回おじいちゃんから聞かされるたんびに泣いてた。」
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