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「今は泣かないんだな。」
からかうように海斗がニヤニヤしながら視線を投げかける。
「うるさいわね!泣くわけないでしょ。」
「冗談だって!」
こうして私と海斗が馬鹿みたいな会話をしている最中…いや、私の話を聞いている最中から先生は考えごとをしているかのように顎の下に手を置いて視線を地面に向けていた。
「先生…?」
「話が若干…」
私の声など聞こえていないのかぶつぶつと何かを呟いている。
「氷室先生!」
さっきより少し大きな声で呼びかけてみた。
「あっ?…ああ水内…どうした?」
「どうした?じゃないですよ…さっきから呼んでるのに…先生こそどうしたんですか?」
「いや…なんでもない。」
結局その後、先生は一言も喋らずにどこかへ行ってしまった。
オリエンテーションも無事?終了を迎え、私達三人は帰る準備をしていた。
「んぢゃ水内!先行ってんな。」
「桜ちゃん下駄箱で待ってるから!」
「うん!ごめんね、すぐ行くから。」
教室のゴミ捨てを担当していた私は二人よりも少しだけ帰り支度が遅れていたので下駄箱で待ってもらうことにした。
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