桜色-sakurairo-

孤独

教室はすでに私一人だけで窓からは辺りを優しく包むように夕日が窓から差し込んでいた。

そんな夕日でオレンジ色に染まった教室のドアがゆっくりと開いた。

｢あっ…先生。｣

｢水内…ちょっといいか？｣

｢えっ…私ですか？｣

｢お前以外に誰がいるんだよ。｣

確かに我ながら馬鹿な質問だったと思う。

｢すいません…。｣

呆れた顔の先生を見ながら私はただ恥ずかしくて目を伏せながら謝った。

｢別に謝る必要はない…。｣

｢はぁ…。｣

私は先生が何が言いたいのか分からずに首を傾けてそう言った。

｢お前…あの話じいさんから聞いたんだよな？｣

｢…？あぁ、『千年桜』のことですか？はい…おじいちゃんからですけど…それが何か？｣

｢お前のじいさんはここの土地の人間か？｣

｢あっ？いえ、おじいちゃんは入り婿らしいです。この話はおばあちゃんから聞いたって…私のおばあちゃん、私が生まれる前に死んじゃったらしくて…。｣

私が言葉に詰まっていると先生がすかさず口を開いた。

｢そうか…、なぁーお前の家今日ちょっと行っていいか？｣

｢はぁ？｣

私はあまりに唐突な先生の発言に呆気にとられた。