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「先生…ここは…?」
「病院だ…」
「うっ…つ…」
私の目から次々と涙がこぼれ落ちる。
声を抑えて泣きじゃくる私に先生は何かを言おうとしたが、黙って部屋から出ていった。
(なんで…おじいちゃん…私を一人にしないでよ…私…一人じゃなんにも出来ないんだよ?…おいてかないでよ…おじいちゃん…)
私はその日、一日中泣いていた。
「桜ちゃん!大丈夫!」
「水内!お前平気かよ!」
次の日家に帰った私のところに奈々と海斗が心配してきてくれた。なぜか先生も一緒に。
「うん…大丈夫。」
泣きはらした腫れた目を冷やしながら二人と会話をしているけれど全く私の耳に二人の言葉が入ってくることは無かった。
「水内…無理しなくていいから…落ち着いたら学校にこいよ。」
始終無言だった先生が帰り際そう言っていった。
私はまた涙を流していた。
三人が帰った後の家。
しんっと静まり返り自分が一人なのだと言うことを改めて感じさせられた。
「おじいちゃん…。」
その名を呼んでももうあの優しい声を聞くことはできない。
そう思うとあれだけ泣いた目からまた涙が溢れてきた。
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