桜色-sakurairo-

孤独

｢私は一人…あの桜の精霊と一緒だ…｣

なぜだか私の真っ白になった頭にぽつんとと昔おじいちゃんが話してくれた『千年桜』の話が蘇ってきた。

｢独りぼっちの精霊は泣き続けて…そして…｣

私はポツポツと降り出した雨など気にすることもなく傘もささずに家を出た。

正直に言うとここらへんも記憶が飛んでいてよく思い出せない。

気がつくと私は学校の裏にある丘の上まで来ていた。

｢あれが千年桜…｣

丘の上にはひっそりと、佇み町を見下ろす桜の木が立っていた。

私はその桜までゆっくりと近づきそして根元にしゃがみこんだ。

雨が降っていたが桜の枝や葉っぱがそれを防いでくれていた。

｢くしゅっん!｣

まだ春先、夜なのでさらに気温が下がっているにも関わらず部屋着で雨にうたれてきたのだ。寒くないわけがない。

｢私…なんでここにきたんだろう。｣

でも不思議と心が落ち着いていく気がした。

すると、突然空に雷鳴が響き出した。