運命

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これは…夢? 私は真っ暗な空間の中に体育座りで膝に顔をうずめていた。 寒い…冷たい… 私は身も心も凍りつくような感覚におそわれていた。 「私…死んだのかな…?」 暗闇の中、私の声だけが虚しく響く。 「せめておじいちゃんと同じ所に行きたかったな…」 にじみ出る涙をこらえながら私は小さくそう呟いた。 「おい…」 「私…死んでも独りぼっちなんだ…」 「おーい…」 「…最後にみんなに会いたかったな…」 「おい…起きろ!」 どこかから男の人の声がする。 感傷に浸っていた私は思わず叫んだ。 「なんなのよ…さっきから…ぶっ!」 バシバシッ! 「な、何すんのよ!」 気がつくと私はなぜか見知らぬ男に胸ぐらをつかまれて両頬を平手打ちされていた。 両頬が少しずつジンジンと痛みだす。 その人は私と対して年は変わらなそうだったが、髪は白髪で着物みたいなものを着ていた。 私は目の前にいる白髪の人の整った顔立ちに思わず見とれてしまっていたが、それを覚醒させたのは耳をふさぎたくなるような男の声だった。 「うるせー!馬鹿女!お前のせいで木の枝が折れただろうが!」 「は?」 男の発言が理解できずとりあえず辺りを見回してみるとそこは暗闇の中ではなく、生い茂る木々の中でも一際立派な桜の木の根元だった。 (いたっ!) 私はお尻の下にある違和感に気づき立ち上がる。 すると、下には無残にもバキバキに折れた木の枝が敷いてあった。 「うわー…」 私は思わず後ずさった。
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