昔話

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ちなみに海斗は奈々のことだけ下の名前で呼ぶ。 本当にわかりやすい奴。 でも…あいつが奈々を名前で呼ぶ度、胸の奥がチクリと痛むのはなぜだろう。 そんなの一番自分が分かってる…でもこの気持ちを伝える気はない。 今の関係を壊したく無いって言うのもあるけど…なにより奈々もまんざらでも無いみたいだしね。 でもこれを海斗に教えて浮かれるところを想像すると少し腹が立つので秘密だ。(笑) さて、今日から授業開始のはずなのですが…なぜか担任が教室に来る気配がありません。 「なぁーなんか担任こなくね?」 「そうだね…呼びに行った方がいいのかな?」 海斗のふりに奈々が不安そうに答えた。 「そう言えば、入学式の後一回教室に集まった時もすっごく遅れて来てたよね?」 私も少し不安になりだした。 しかし、そんな不安を断ち切るかのように教室のドアがゆっくりと開いた。 「あー…便所行ってたら遅れた…スマン。」 髪は寝癖で荒れ放題、無精ひげを携えた白衣の男がゆっくりと教室に入ってくる。
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