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「構いません。リピテルを葬る機会なら、その内また訪れるでしょうから」
そう付け足した彼女は、再び寂しそうな顔をしてみせる。
きっと彼女も、あの糞天使──リピテルの被害者なのだろう。
しかし俺は、その事について触れるような事はしなかった。
「なら、さっさと図書館とやらへ行く為に、白紙の栞を探さなくちゃな。ノーヒントとなると、こいつはかなり厄介だ。糞天使は無視して、二人で手分けして探し回るのがベストだと思うんだけど、どうだ?」
俺の提案に、赤髪は静かに首を横に振った。
「リピテル達を放っておく訳にはいきません。強化の効力もじきに失われてしまうでしょう……そうなれば、リピテルの羽矢に対抗出来なくなってしまいます。出力を落とせば、少しは長持ちさせられますけど、それでも一時間か二時間が限度かと」
そう言って、赤髪は表情に陰りを見せた。
活路を見出だすには、糞天使の足止めが必須であるのは間違いないだろう。
常人があの羽矢を目で見て避けるのは極めて難しい。
俺が避けられたのも、一射目はただのラッキーだ。
糞天使が由加を味方に付けて油断していた二射目だって、赤髪の放った皇樹が割り込んで無かったら、俺はきっと跡形もなく吹き飛ばされていたに違いない。
かなり無謀で馬鹿な突撃をしようとしていたんだな、と認識。
冷静さを欠いちゃ駄目だな、と猛省。
しかし、彼女の力が増幅されている間なら、確かに一矢報いる事が出来るやもしれない。
…………。
だから、駄目だってば。
俺は落ち着け落ち着けと心に念じて、雑念を払うように頭をトントンと叩いた。
赤髪は貴重な栞を二枚も使って、糞天使から俺を逃がしてくれたのだ。
このまま何の進展も無く奴の元に戻れば、それこそ数と時間に限りがある栞の無駄使いである。
一戦交えるにしても、それは囮や時間稼ぎとしてだ。
「強化が有効な内に私が足止めを行い、土地勘のある貴方がどこかに隠されているはずの白紙の栞を探す、ですね?」
これが恐らく、現在考えうる最良の選択だと言えよう。
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