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僕は時折、小学生だったあの頃の帰り道を思い出す。
放課後のチャイムが鳴り、給食に出た牛乳を片手に歩いていた。
不意に、何かカツラみたいなものが落ちているのかなって、近づいて見てみたら、車に引かれたのか猫の死骸が哀しそうにあった。
何故か僕は慌てることはしなく、学校に戻り、用務員のおじさんに猫の死体が……って伝えると、おじさんはゆっくり猫の死体に近づき「あっゴミだね」って無造作にゴミの袋に入れて捨てていた。用務員のおじさんって優しいのかと勝手に思っていたが、なんとも言えない気持ちがした。
夕焼け。
僕は牛乳を猫の死体があった場所に置き、家に帰った。
あの日、残酷っていう言葉にはかなりの違和感を感じてしまう。代わりに、何となくだけど、優しい風が頬に感じたのだ。
猫ってたまらない幸せをくれたりする………かもしれない。
ただ単純に人の間の近くにいたりして、時には滑稽さを見せ付け、いろんな景色の中にさりげなく………いる。
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