帰り道

2/2
前へ
/350ページ
次へ
僕は時折、小学生だったあの頃の帰り道を思い出す。 放課後のチャイムが鳴り、給食に出た牛乳を片手に歩いていた。 不意に、何かカツラみたいなものが落ちているのかなって、近づいて見てみたら、車に引かれたのか猫の死骸が哀しそうにあった。 何故か僕は慌てることはしなく、学校に戻り、用務員のおじさんに猫の死体が……って伝えると、おじさんはゆっくり猫の死体に近づき「あっゴミだね」って無造作にゴミの袋に入れて捨てていた。用務員のおじさんって優しいのかと勝手に思っていたが、なんとも言えない気持ちがした。 夕焼け。 僕は牛乳を猫の死体があった場所に置き、家に帰った。 あの日、残酷っていう言葉にはかなりの違和感を感じてしまう。代わりに、何となくだけど、優しい風が頬に感じたのだ。 猫ってたまらない幸せをくれたりする………かもしれない。 ただ単純に人の間の近くにいたりして、時には滑稽さを見せ付け、いろんな景色の中にさりげなく………いる。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1974人が本棚に入れています
本棚に追加