卯月の章 嘘つきパン屋さん

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午前の太陽の光線がキラキラとそこら中を照らしている。 その中をランドセルを背負った一群が友達の顔を見つけ、他の通行人の迷惑も考えずに、あそびながら、おしゃべり、走り回っている。 こんな風景は八時を少し回ると、消えてしまうのだが、遅刻するかどうかという瀬戸際の生徒は、顔をひきつらせて走ることになる。 たった一人だけで行く通学路はスリル満点。増して、もう誰もいなくなった通学路は妙なまでの静けさがあり、不安になる。 今朝の僕は、遅刻だけはできないと緊張感でいっぱいになる。 バス停。 焦りと緊張感でいる僕以外はゆっくりした雰囲気の朝、そんな町並みなんだろう。雪が溶けかけた道は歩きにくい。買ったばかりのビジネスシューズのせいだ。
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