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第3章『神が生んだ子』
1982年3月
大場と別れ、私は約束していたあの防犯カメラの映像をどうやって入手するか考えていた。周りは世界中の警察はいるし、マーシャルのセキュリティは万全だ。
ただ、考えるにしろ、仕事をするにしろ、元々一人っ子だったせいなのか、一人のほうが集中はできた。 考えられるとしたら、リネンの部屋にあるはず。あくまでも憶測だったが、自信は結構あった。
深夜、私はリネンの部屋にいた。
必ずこの時間にリネンがいないことは事前に調べていたから、入り込むのは容易だった。
部屋の中は真っ暗で頼りになるのはジッポの明かりだけだった。中は以外に散らかっていて、英語で書かれた資料や今回の事件の報告書まで机に置いたままになっている。
ただ、今の私にはそんなことよりも防犯映像のほうが優先だった。
いくつかあるモニターを付けて、映像の時間をあの日に戻した。 予感は的中。そこには基地へ潜入する二人の姿があった。 しかし、問題はここからだ。映像を見てはいるものの、このまま後ろ姿で終わってしまえば、ここへ来たのも無駄になってしまう。どちらかでいいから顔を見せてほしい。私の願いはただそれだけだった。
その時だ。ゴッドがモニターを見たのだ。しかもハッキリと。モニター越しに私とゴッドは睨み合った。
「こいつ日本人か...?」私は思わず言葉が漏れてしまった。
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