プロローグ『思い出話』

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警察署内では、私も大場も『伝説の刑事』として崇められている。特別賞なんてのももらったが、私達はなにもしてはいなかった。 「秋山さん、大場さん。定年ついでにみんなに『あの事件』話してくれませんか?」 あの事件...。思い出すのも嫌になりそうだ。私達は特別賞をもらったが、事件全部を開示していたわけではなかった。当時からしてみれば私達はぺーぺーの刑事なわけで、上からの命令で事件全貌を闇に葬らなければならなかった。 今になって身内から情報開示の願いがくるなんて誰も思いもつかない。大場と私は顔を合わせて、なにかを決意したかのように、長い長い思い出話を始めていた。
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