第1章『二人の刑事』

2/4
前へ
/31ページ
次へ
その日の空港はガラガラだった。細菌問題で飛行機のキャンセルが相次ぎ、航空会社は火の車状態に変貌していた。 私達は席についたが嘘のような空席が目立ち、このまま飛ばないかと思うくらいだった。この時の私は正直言って、飛ばないでほしいと思っていた。だが、変にやる気を出している奴が隣にいた。大場だ。 日本からの特別捜査との名目で行くのだが、所詮、世界中の警察がアメリカへ調査に行っているのに日本が行かないと立場が『危ぶまれる』と考えていたのだろう。 それを知ってか知らずか、大場は鼻息を荒くし、外を見て何かを考えているようだった。 そして、飛行機は寸分の狂いなく飛び立った。 アメリカ行きは私の中では複雑な気持ちだ、大場の言う通りテロの可能性も否定できない。ましてや、もしもの時に家族や友人達に何も伝えられず終るのだろうかと、思えば思うほど眠りには付けないでいた。 だが、仮にも盗まれたとして何故、細菌兵器なんか狙ったんだ?軍事基地から盗めるほどの『力』があるならもっと簡単に、しかもバレずに盗めたはず。犯人はあえて軍事基地を標的にしたのか。。もはや私の頭の中は眠りにつくことよりも、細菌への興味に変わっていた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加