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12月25日、あたしは最初の罪を犯した。
「私、女なんだけど」
勇気を振り絞った。絶対に理解されないだろうな、っては思ってたから傷つかない。傷つかない。あかりのこと好き。でも無理だって知ってる。
粉雪が舞う中、背中が小さく震えた。
「知ってるよ。でも知って欲しか
ったの」
「うん」
「あかりに迷惑はかけないよ」
「うん」
「これであたしからあかりが離れてっても仕方ないと思ってる。でも……」
忘れないでね、って言いたかった。喉がキュ、ってつまって痛くなって視界が滲んで、上手く声が出ない。みっともない自分が嫌い。これでまともに話すのも最後になるだろうから、ちゃんと格好よくきめたかったよ。
「まお、私ね、もうここじゃない所に行くんだよ」
ガキだったあたしにあかりの言葉が突き刺さる。見た目も中身もまだまだ幼いあたしたち。
でも、あかりとの出会いを後悔なんてしてなかった。
さよならに指切りを
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