逃げようか、さぁ。

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そのキラキラした視線を受けながら、ベルゼはヴェールに視線を送った。 「どゆこと?」 「彼は騎士志望なんです」 と、ヴェール。 ベルゼは 「そういうことか」 とわかったように頷いた。 「騎士になりたいんだよな?そういや名前は?」 「リヴェスです!こっちはフューリー」 「リヴェスにフューリーね……リヴェスは、なんて騎士になりたいんだ?」 ベルゼはしゃがんでリヴェスに視線の高さを合わせて問いかける。 その眼はどこか真剣だった。 「理由……?」 リヴェスは僅かに首を傾げて、考えこむ。 騎士になりたい理由。 「あの、誰にもいわない?」 「勿論」 「……俺が騎士になりたい理由は――――」 リヴェスはベルゼの耳に顔を近付けて小さく囁く。 それを驚いたような顔で見ているフューリーに気付かずに。
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